旅行代理店ノマドのサハリン旅行を中心としたロシア専門部門「ロシア・セクション」

ロシアの旅行の手配から観光まで

RUSSIA SECTION

【ノマド|ロシアセクション】

業務渡航

1.現地入り

撮影機材のなんと多いことか、もし空路を利用しての移動であったなら膨大なEXESS(=荷物の超過料金)を支払うことになったであろう。 今回の取材行は2ヶ月にわたる北部サハリンでの動植物を対象とした大自然紀行だ。北海道支局の75周年事業記念プログラムであり、全編ハイビジョン撮影による豪華バージョンのため、資機材の量・質ともに相当なものである。

当社としても全国的に放映される2時間番組とのことであり緊張した現地手配となる。また、目的地は一度現地入りすると容易に補給を行うことが極めて困難な地域であり使用車輌の選択から各種装備、海上からのアプローチのための船舶、羆(ひぐま)対策のためのライフル、食料計画、と特に念入りな準備が求められ、あわせて現地入りまでと、その後2週間は当社スタッフが調整その他諸問題に備え同行することとした。

2.機動力

稚内からフェリーで5時間半、サハリン上陸後は装備を満載した車輌で更に現地まで2泊3日の行程である。

約1,000kmの悪路を途中野営と取材を繰り返しながらひたすら走った。

現地での主車輌は今回pazを手配した。
不整地走行用旅客車輌であり、バスの形態を保ちながらも4輪駆動。そのタイヤの直径には安心感があるロシア製だ。

しかしながら一台での運行は不安でもあり支援車として日本から衛星携帯電話装備のランドクルーザーを持参する。
過去幾つものTV局の取材に同行し、いつの間にかサハリン仕様と化し、実績・信頼性ともに充分な車である。

札幌から目的地まで往復3,000kmを超える長駆であるが、装備の搬送と現地での機動力を考えた場合不可欠である。
これまでの経験からも、やはり大自然にアプローチする時の「車輌の選択」と「通信線の確保」には万全が求められる。

3.シュミット半島

シュミット半島でのベースキャンプには鉱山管理者の飯場兼作業小屋を借り受けた。屋根と床、そして壁があるのがうれしい。
また狭いながらもダイニングがあり雨を気にせず食事の準備ができるのは何よりだ。雰囲気も最高!

サハリン最北端、シュミット半島。
エリザベート岬(写真下)、秀峰トリブラート、そして半島東海岸はレーベンシュトルナを中心とした蛇紋岩の山々。
これまで学術調査などの限られたグループにしか門戸を開けてこなかった秘境である。

カラフトルリシジミが舞うトリブラート山からの眺望は素晴らしく、遠く大陸のニコラエフスク・ナ・アムーレを望み、眼下には北にエリザベート岬(写真左)、南にカレンド湾、そして西のマリー岬には今まさに特大の太陽が沈まんとする壮大な大自然の叙事詩が展開されていた。
昼間の快晴と日没時の夕焼け、何者かに感謝したい心境だ。

4.大自然

海岸線での風景には違和感がある。
ハイマツ帯が長く伸び、ガンコウランやトナカイゴケ、タカネツメクサが咲き、波の打ち寄せる音を聞きながら足元を見ている自分の存在が奇妙であり不安定な心持となったことは印象深い。

蛇紋岩の山々が連なるレーベンシュトルナへのアプローチは海上から船による上陸を実行した。
多くの装備とともに荒れる北の海の凪の瞬間を捉えながらの離岸・接岸、そしてとてつもなく大きな波長の波はまるで山のようであり洋上航行と上陸は命がけであったと思う。
しかしながらその困難に報いるだけのご褒美は確かに与えられた。

海岸から立ち上がる蛇紋岩のヒラに張り付くような高山植物群はリシリヒナゲシ、ウメバチソウ、タカネツメクサ、チョウノスケソウ、ウルップソウ、イワハタザオ、エゾイヌナズナ、チシマギキョウ、そしてピンク色のキバナシャクナゲと一面に今が盛りと咲き乱れる文字通り『お花畑』が広がっていた。海抜は僅かに50m程度だろう。

花畑の直下には第1キャンプとなる番屋がひっそりと建っていた。
切り立つ崖にはオジロワシ、眼下の沢筋にはあけ2歳くらいのヒグマ、海上の波間を縫うように羽を広げるエトピリカ、真っ青な空はどこまでも高く、風は時折強く低くそして優しく感じられた。

5.業務終了

当社の2週間の支援業務は瞬く間に過ぎたが、TVクルーはこれから更に一ヵ月半に及ぶ長期ロケが続く。
無事と成功を祈りながらシュミットを後にした。

トリブラートからの眺望、エゾ松の北方限界線、海抜ゼロmでの高山植物群、グイ松や松蔓、そしてヒグマや雷鳥との出会い。
今回も何とか業務が終了できた。
ロシア人スタッフに感謝!

当そしてなによりもロシアの社会システム、ロシア人気質に深い理解をいただき、また苛酷な自然環境をものともせず、まるで地元札幌は大通公園を歩くがごとくの立ち居振る舞いのディレクター足立氏に敬意を表するとともに、心より感謝申し上げます。

Page top