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旅のコラム

第8話 ドライブ その2 サハリン東海岸幹線道路編

2004.12.01

本ではコンビニや道の駅に押され、「ドライブイン」という存在が消えつつある。
峠の入り口や頂上付近で一時は隆盛を極めていたのに・・・ 昔、長距離ドライバーには欠かせないオアシスだった。
ラーメンやカレー、とんかつが定番でご当地物も必ずあった。

サハリンでは今新しいビジネスとして「ドライブイン」がうまれはじめている。 最初は屋台だった。
道端でご当地物のシャシリクという大きなバーベキューを専用コンロで焼いて車で通りかかる人に窓越しで販売する簡単なビジネスだった。
いま、屋台にはテントがかかり、テーブルと椅子が用意されパラソルもある。
郊外に出るとしっかりとした建物が建てられレストランにサウナ、ホテル機能を持たせたものまで出現しつつある。

モータリゼーションと言う懐かしい言葉が思い出される。
個人の自家用車保有率が急激に増え、あわせてエネルギー開発の物流の主軸を担うトラックと人員の移動に伴う車輌の往来が激増しているからである。 道路整備の恩恵もあろう。一番驚いたのは小さな小さな村に24時間営業のドライブインが出来たことである。冷めたピッツアとピロシキだが電子レンジで「チン」、インスタントながら熱いコーヒーもある。そして真夜中、早朝に関らずお客さんがいる。陸送のドライバーだ。ソ連時代からこの地を知るものにとって、それは信じられないような出来事である。
市場経済・エネルギー開発・流通・・・変化は例外なく個人にも小さな村にもやってきている。
外国のことであるが、どこかで何か寂しげな記憶とシンクロしてしまうのは何故だろう。
村の雰囲気が幼い頃に得た原風景と重なるからだろうか。
子供の頃家族揃って紅白歌合戦を見た、お正月三が日はお店はすべてお休み、初売りは4日。
それが今では年中無休、24時間、初売りは1日。年越しそばにも雑煮にも子供の頃のような何か特別な高揚感を感じなくなってしまった。
この小さな村にも「セイコーマート」「道の駅」が出来るのもそう遠い話ではないだろう。
今、異国の地のドライブインで便利さを享受しながら、頭では理解し心ではなにか捨てきれない大事なものが消えつつあるようなそんな焦燥感を感じている。
恐るべし!サハリンのドライブインはそんな自分の人生を振りかえさせる何かがあった。

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