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【ノマド|ロシアセクション】

旅のコラム

札幌・ノボシビルスク友好交流協会

2007.08.12

札幌・ノボシビルスク友好交流協会会長 千葉裕子様/シベリア通信~No.4~

 シベリアにも春が来た。私の住むアパートの中庭に毎朝カササギが姿を見せるようになった。なかなか立派な美しい鳥である。なにが良いのか彼が止まる梢は決まっている。眺めがいいのかなーと勝手に決め込んでしばらく彼の様子を見るのが楽しみとなった。
また、3月25日から夏時間となり、日本との時差が2時間となった。今まで朝の明るさを喜んでいたが、今は7時頃にやっと明るくなる。その分、夜は8時近くまで明かりが残って有難い。これであれば一人でコンサートにも行かれそうだ。

救急病院

 3月9日、とうとう足首を捻挫してしまった。”シベリア・ホッカイドウ“センターに着いて、イリーナさんが早速病院とタクシーの手配をしてくださった。タクシーは40分待ちだという。それを聞いてセンターに所要で来ていた女性が帰途、車を回して下さるというのでそれに同乗させてもらった。イリーナさんが付き添ってくださり、オペラ劇場の横の「病院№1」に急行。ここは整形外科専門の救急病院で、足を引きずったり、手首を押さえたりの患者が5,6人待っている。
担当は女性医師であった。私の足首を眺めながら、事故当時の状況を聞かれる。「仕事への途中か」「何処の地下鉄駅か」「何時か」次々とコンピュータに入れていく。質問の内容が日本の労災扱いに似ていて私には俄然興味が湧いた。しかし、保険制度など全く無い国なのだから、多分書式なのだろう。用紙を渡されて、イリーナさんは支払いに行き、支払いの領収書を持って、私はレントゲンを撮ってもらい、再び医師の診療室に行く。医師は骨折なしの確認をして、再びイリーナさんに買い物を指示する。簡単な伸縮の利くサポート用品でそれを私の足首に巻いて「はいっ、終わり」消炎剤を購入することを勧めてくれてこれにて終了。
経過時間3時間。待ち時間の長さを恐縮するイリーナさんに日本と全く同じだと説明をする。築後80年以上というノボシビルスクで一番古い病院の高い天井と、近代設備のために次々と増設された電気のケーブル類の裸設備と、繰り返し塗りなおされた壁の水色を見ながらの3時間であった。支払った経費、診察料金1500円、レントゲン料金500円、サポート用品500円、消炎剤500円、合計3000円。二日間冷やして、三日目からは暖めた乾いたタオルで患部を包むこと、という注意をうけて帰宅。骨折ではないと自分なりに確信していたので、時間が解決してくれると判断「骨折ならすぐに一時帰国を」と考えていたから幸いであった。
また、また、センターに、そしてイリーナさんにお世話になった次第であった。

困ったこと  タクシーを使えない  コンピュータまで辿りつけない

捻挫したのは、出勤途中の地下鉄「グラッスヌイ・プロスペクト」駅。昼の12時半。階段を踏み外した。左足首に激痛が走った。転んだかたちで痛みに耐えつつ呼吸を整えていたら二人の夫人が駆け寄ってくれた。私は痛みで声が出ない。やっと助け起こされて、左足をつけてみた。「動くッ」腕を貸してくれた婦人に「歩けるから大丈夫」と答えた。もう一人のおばあさんは私の目の前で十字架をきり「キリストがいるから、キリストがいるから」と言う。よく見ると物乞いのお人であった。腕を貸してくれた婦人が「いいから、いいから」と言って断ってくれた。「救急車が欲しい」と思ったが、先日の日本語会話の授業で「救急車のデポハオビ川左岸にあるから、オビ川の橋がいつも混んでいて少なくとも市内に入るには20分はかかる」という学生のコメントがあった。二つ先の駅が“シベリア・ホッカイドウ”最寄の駅なのでそこまで行ってSOSを発信しようと考えた。地下鉄“アクチャブリスカヤ”で下車。地下鉄の遠のく音を確かめて、ホームから携帯でSOS。
この日から、私は外出不可能となった。本来ならハイヤーを呼ぶと良いが、外国人である私は「使わないように」と注意をうけているので、どうしても必要なときだけ鎮痛剤を使いつつ外出した。痛みが引いても雪解けのザクザクの道は今の私には鬼門だ。タクシーが使えないというのは本当に困ったものであった。センターに置いたコンピュータまでたどり着けないジレンマ。3週間が経過した。

美容室にて

2月に3回もののテレビに出た。その時に出会った女性会社社長の要請で美容室に「生け花」の話をしに出かけた。あの折、テレビ出演はしたが、私宅のテレビには映らず、一時間もの3回として放映されたそうだが、私にはその結果は見えていない。時々、人々に「見たよ」と声をかけられるが「そうですか」としか言いようがない。
しかし、市立文化センター“シベリア・ホッカイドウ”が私の勤務先であるから、声をかけられると何処へでも出かける。今回は、市内のトップクラスの美容室を見学できるというので喜んで出かけた。入り口は原色華やかな看板で、少々ゲンナリ?。2階全体ワンフロアーを使用した室内は凝っていた。個室サービスが基本で、VIP室(中待合付き)、男性用個室、ペディキュア室、マッサージ室、日焼けサロン、シャワー室、一般的な2人用室という設えで、中央部分に円形カウンターを2箇所設えてオフィスとしている。マニキュアはカウンターでお茶を飲みながら、というなかなか贅沢なものだ。お値段はさぞかし高かろうとさりげなく聞いてみた。ショートカット1500円、ロングカット2500円。ここで高いのか安いのか近頃の私には判定が出来なくなっている。なぜなら貧富の差が激しくて「なんとも言えない」というのが本音だから。生け花は実技も入っていたので、それなりに花の用意を頼んでおいた。これがまあ~。トルコキキョウ(紫、白)、チューリップ、スターチス、ハラン、カスミ草etc。
一抱えずつ揃えてあった。シベリアに来て初めて豊かな花に囲まれて嬉しい限りである。花を活け、講義をしてこの夜は楽しいものであった。昨年10月に私は一度パーマをかけたが、その日に空き巣にはいられて以来、今もってそのトラウマがとれていない。かつ、あの日は、パーマ液のにおいが体にまとわり付き「2,3日後に洗髪をすること」と言い渡されて髪の毛が逆立ったままの帰宅後の事件であったから、私にとっては美容室は鬼門であった。
しかし、今回は「利用してみようかな~」という気になった。なにしろ清潔であった。
室内の機器はすべて輸入品。装飾は社長の好みで東洋風。これが中国風中心で、中国and
日本というけったいなものであるが、ここに住んでいるとどうでもよくなるもので「お好きなように」と私は総てを許せるようになった。

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