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RUSSIA SECTION

【ノマド|ロシアセクション】

旅のコラム

札幌・ノボシビルスク友好交流協会

2007.08.22

札幌・ノボシビルスク友好交流協会会長 千葉裕子様/シベリア通信~No.6~

トピックス   いたずらっ子は??

桜の苗木を植えて一ヵ月半後の6月末。ノボシビルスクに急激な暑さが襲った。2,3日のことであったが市民には応えたものだ。6月27日、出勤の途上、桜を見に雑草の中に分け入った。オット一本は葉が茶色になっている。もう一本は葉がないっ。先日まで臙脂色をした艶やかな葉が順調に育っていたのだ。そこへセンターの電気技師が近寄ってきた。「千葉さん、見ましたか?誰の仕業だろう」私に分かるはずもなく、呆然としていると「蟻の仕業である」と言う。赤い蟻か黒い蟻かは分からないが、彼らが食べたと言うのである。蟻がこんなことをするとは私には初耳であった。館内に入ると館長が居た。電気技師は“ご注進、ご注進”とばかりに、如何に自分が目をかけて見回っていたかを報告している。館長「自分の別荘のもやられた。早速、周囲を深く掘り、薬を入れたが今はどうなるか分からない。犯人は黒い蟻である」と言う。電気技師は「家内が植物に詳しいから、自分の別荘に持っていって育ててみよう」と言って一本を持っていった。7月に入ったが残された一本の桜の苗木は枯れ木の如く木肌を太陽に晒している。多分、駄目であろう。
一方、電気技師の持って行った苗木の根は生きていると言う。しかし、全ての葉を失った苗木は育つものだろうか。
今年の桜は全滅であろう。来年こそは蟻退治の薬と共に、ウズベキスタン国営航空で沢山持ち込もう。持ち込み方法は学習済みだから。
なんと今度は、私が種子から育てた紅花も今日は抜かれていた。実は、センターの前庭一面に紅花を咲かせるのが私の密やかな且つ自分勝手な夢であった。今期は種蒔きの時期に帰国していたので、そのチャンスを逸した。それでも5,6本鉢植えで芽が出たので、これもセンターの薔薇の横に植えてもらった。急な暑さと毎日来るスコールのような雨で雑草が繁茂したので、庭係りが機械で一気に刈り取るだろうと考えた。私は紙切り鋏で紅花の周囲を刈り込んでおいた。草丈15センチほどに育っている。刈り込んだ辺りは明らかに「なにかがあるよ~」と言う感じであった。それがいけなかったのだろうか。週明けに古い割り箸を持って目印にするべく出かけた。「あらッ、ないツ」脇を見ると今朝抜いたのだろう。元気を無くした紅花が捨てられてあった。今回は私も怒った。副館長のイリーナ・プーリックに言うと彼女は庭係へ突進して行った。館長にも注進。彼は「天皇陛下からの花であった」と大きな声で言ったものだ。子供の仕業らしい。花はもう返らない。

トピックス   地下鉄の詩情

地下鉄の車内は日本と同様、宣伝コピーで溢れている。私はロシア語の勉強とばかりにその一行を覚えては自宅に帰って辞書を引く。最近は「もう飽きた」
昨年は車内のTVに札幌の上田市長の映像が流れていた。そして最近、私は珍しいものを発見した。友人の説明で理解したのだが、短い“詩”である。聞くとロシアの詩人だけとは限らず、内外の詩人の詩を掲げて「お疲れの皆さん、暫く心を休めましょう」というアイデアで、ノボシビルスク市独自の発想だそうだ。
そう言えば副首相のメドベジ氏がTVで「ロシア人のロシア語教育に力を入れなければならない」とその対策を急ぐように指示したのを私は興味深く見ていた。ロシアでもアメリカ語の流入で、年配の人は若者の言葉が分からないと嘆いてから随分と年月がたっている。日本と同様、まずはアメリカ語からの影響が大きいのだろう。そしてまた美しく正しい言語が軽んじられてきているのだろう。

トピックス   郵便事情

ロシア語教育と関係があるかもしれないことだが、この国でも手紙離れが著しい。個人的には電話、メール、携帯電話の急速な普及があって手紙を書くことが減ったのであろう。表現としてのロシア語が衰退していくのも理解できる。その他に郵便制度への信頼感が全く無い。ここからテーマに入る。アパートの郵便受けには各戸に錠がある。しかし、開きっ放しのボックスも少なくない。例えば電話料金請求書は封書ではない。印刷された幾枚かのお知らせ用紙が入っていて、間違って隣のボックスのものが私の中に入っていたこともある。そうすると海外にかけた料金やいかなる国にかけたかを読みとられてしまう。郵便の安全性がうたがわれるのだが、実はもっと困ったことにはこの冬、私の所属する短歌結社からの歌誌が3ヶ月間滞った。私の郵便物はセンター宛に届く。郵便配達はアルバイトの小母さん達で、センターは地下鉄駅から歩いて15分かかる。しかもこの道、川底地形の吹き曝しの道で冬は寒い。小母さん達は嫌がって配達をしてくれないのである。郵便局からは「取りに来るように」という電話がかかってくる。センターの館長が車で取りに行ったのは4月に入ってからで、この時、クリスマスカードも纏めてもらってきた。公共自治体は通信手段を電話、Fax、メールでこなしているから郵便は必要が無いのかも知れない。郵便が郵便として生きているのは日本で言えば書留や速達の類であろう。これも郵便ボックスに連絡の紙片が入っていてパスポート持参で出向く。大方、この窓口は混んでいて、待たされること夥しい。一般の郵便ポストは路上にあり、私は日本への封書を祈りを込めて投函している。郵便行政がこの様だから通信機器の発達もあって人々は手紙を書かなくなった。それと同時にロシア語教育再生に至ったのは簡単な理屈であろう。

トピックス   引っ越し・・・・ました

ドストエフスキー通り10番地。住所名は気に入っていた。しかし、昨年の空き巣事件以来、なんとも落ち着かず密かに契約切れの日を待っていた。一年分の家賃を払っていたので動けなかったのだ。この度も、センターの力を借りなければならなかったが、6月から住居探しを始めた。知人を通しての紹介を希望したが、今時、長時間の空き部屋があろうはずも無く不動産業者に依頼した。今までは二部屋アパートだったが、今回は一部屋で、地下鉄至近。室内が清潔で修理が行き届いていること。安全が確保されていること。という条件である。
業者に依頼してすぐ連絡が入った。初めに3件。イリーナ・プーリックさんと見に行った。案内担当はまだまだ小娘という肩出し、ヘソ出し、ミニスカートの社員。つまり体を覆うもの非常に少ない。
一件め、5階建てアパートの5階。室内は良し。窓枠はサッシ、これも良し。警備は一階に交番が入っていてこれも良し。しかし、地下鉄から10分かかる。センターの授業が夜なので、この徒歩10分は危険だ。賃借料は一ヶ月13000ルーブル(約60000円)。値切ってみたが500ルーブルしか下がらない。2軒め、地下鉄から5分、交通量の多いところなので夜も安全であろう。ここもなかなかよろしかったが、案内のお姉ちゃんがもう一人の客を同時に案内した。このいい加減さにイリーナ・プーリックさんが立腹。副館長の威厳でごうごうと文句を言った。「ダブルで゙顧客を案内するとはなにごとだ」口では言わなかったがこの事実を会社に知らせるとこの社員は即刻首になると言う。3件めへの途中で、案内担当者はなにやら連絡をとっていたが、2件目の家主から、近所に難しい人が住んでいるから外国人にはお勧め出来ないという断りが入ってきた。と言う。つまり、あの別口の顧客が早々と決めてしまったのだろう。3件め。一階、年金生活者の老婦人が家主であった。一階は危険度が大きいので、ここからはすぐに退出。一日目はこれにて終了。
翌日、早めの連絡が入り、もう一件を見に行く。前日のイリーナ・プーリックさんの怒りが効を奏した。「あったのだッ」地下鉄ガガーリンスカヤ駅から徒歩1分。スーパーマーケットから徒歩1分。9階建ての3階。エレベータの室内は明るい。そして、揺れない。1DKアパート33㎡。東向き。室内は修繕も行き届いている。キッチンは張りぼてではあるが今風に新しい製品である。冷蔵庫と調理器具はどうもおばあちゃん時代からのもののようだ。従ってどちらも緩慢な働きである。窓枠はサッシではなく木製の2重窓だが塗装がきれいなのでこれでも良い。家賃一ヶ月11000ルーブル(約50000円)。6か月分前払いが効いての金額らしい。安全性は3軒の住宅が踊り場に一枚のドアを共有し、この錠を開けて、自分の部屋のドアに至る。という形式である。もう少し具体的に言うとエレベータを降りると両脇に2枚のドアがあり、その中に3軒ずつの住宅があるという形式である。ドストエフスキー通りのアパート建設時から20年ほど後半の建物であろう。一階は大きな商業スペースで外国製品を扱う店になっている。即刻決定。いつも即刻決定の私なので今回はイリーナさんから「一日だけ考えてから決めましょう」という忠告があったが、今回は二人とも「決めよう」という目をしていた。家主は若い夫婦で子供が出来て広いところに引っ越ししたのだという。この住居は彼らにとっては貴重な財産であろう。なにしろ市役所の課長クラスの給料と同じ収入なのだから。ここでも私は経済のねじれ現象を見たが、一年間の滞在でどこかで「いろいろあっても当たり前」という慣れ現象に嵌まっているのも事実である。
7月17日引っ越した。

トピックス   本当かな~~

某中央アジアの日本大使館員が個人旅行にてセンターを訪れた。ノボ市には道路工事、建築工事に大勢のタジキスタン人の労働者が働いている。賃金の安いロシアであっても母国の賃金より高いという。大学卒の人も含まれているから、タジキスタンの失業事情が見えてくる。
今回もたらされた情報では、現在、中国の余剰外貨が行き所が無くタジキスタンに流れ込んでいるという。タジキスタンの基盤整備のための資金導入で、しかも労働者は中国人である。同賃金であれば、中国側は母国人を雇い、母国への送金という利益の還流をしているという。
一方、タジキスタンとしてはこの資金の返済能力が無いから、今後政治課題として浮上してくること請け合いである。中国はタジキスタンを押さえにかかっている。大使館員曰く「日本人はな~んにもしない」「サンクト・ペテルブルクのトヨタにしてもプーチン絡みだから」で、先の先の先まで読めないのは島国であったわが国が発育不良なのかもしれない。プーチンのあきんど外交はなりふり構わずで、ある意味で今はロシア人の共感を得ている。オリンピックのソチ開催を獲得した演説ではフランス語、英語の二ヶ国語をこなし、TVニュースではロシアの隠れた秘密兵器と賞賛された。

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