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旅のコラム

第29話 焚火料理(蒸し物編)-下-

2009.03.28

散弾銃があれば雁・鴨類が獲得できる。肉類の時はひと手間が必要だが機会があればぜひ一度、以下紹介の料理を体験していただきたい。

焚火の火床をちょっと掘り下げ拳大の石を盛り、お湯を沸かすのに合わせてしっかりと石も焼く。
お湯が沸いたら火床をさらに掘り下げて焼き石の半分を並べる。その上にワタを抜いて下処理をした丸とり肉をぎっちりとつめた鍋を置き、コップ一杯の水を入れ蓋をする。残したもう半分の焼き石と土を鍋の周りに詰め蓋の上にも撒く。もう一度焚火を戻し、のんびりと野菜かなんかのスープを作ろう。
スープができる頃には最高の「蒸し焼き鴨」が出来上がる。出来上がった肉も最高の味だが実はこの料理、肉より脂が目的だ。鴨からにじみ出た脂はまるで溶かしバターように透明で黄金色。そのまま飲んでよし!スープに入れて良し!炒め物で良し!濃厚だがあっさりしていて最高の逸品だ。(ロシア極東では薬より珍重される。)
鴨解禁時期は春まだ遠くの残雪期だ、寒くて身体が脂を求める。あったまること間違いなし!極東では「シュルパ」という。初冬の蝦夷雷鳥なんか獲れた日には盆と正月が一緒に来た位にうれしい。ウオトカ1本ではとうてい治まらない。この料理、もちろん焚火に埋めるのが一番だが、今の時代ガソリンストーブやガスコンロでも可能である。
コツは、キャンプの人数にもよるができるだけ大量の鳥を使うこと。最低でも5、6羽は欲しいところだ。もちろんそれに見合う鍋も必要だ。ただこれ以上となると焚火も穴も巨大になるのでそんな時は埋めずにストーブの中火で時間をかけて料理するのがいいだろう。

(猟果が少ない時は脂を目的とせず肉料理とし、ジャガイモ、にんにく、たまねぎと一緒にオーブン料理とする。想像していただきたい!鴨脂でじっくりローストされた肉と野菜を!*注 この肉料理とする場合は陸鴨と蝦夷雷鳥に限定!海鴨の場合は欲張らずに「脂とスープストック」のみを目的としよう。肉は犬の餌にするのが賢明だ。海鴨肉はうまくない!)

この焚火料理のために日本からダッジオーブンをプレゼントに持っていったことがある。あの保守的なロシア人がアメリカ発祥のダッジオーブンを絶賛した。その後バックオーダーが次々に入り、しばらくは毎回重い鍋持参の出張が続いた。
この「シュルパ」は極東のハンターしか知らない。街場のレストランで同名のメニューが時折見かけられるが、全くの別物である。

ロシア極東!こんな料理を食べに行くだけでも、価値があると思う。

日本では「キャンプで焚き火」が不自由になって久しい。キャンプ場(管理野営場)でキャンプが一般的だからであろう。焚火禁止が全国的な流行でもある。稀に焚火OKでも「焚き火台使用のこと!」とある。
多くの人が集う場なので仕方ないことだが、なんか自分が知るキャンプとはちょっと違う。
ロシアには日本的なキャンプ場はない。どこでもキャンプである。

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