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RUSSIA SECTION

【ノマド|ロシアセクション】

旅のコラム

第31話 野外料理(おまけ編)

2009.07.29

ロシアが元祖! 「いくら。」
夏が来ました。
先に「ウハー」や「蒸し焼き」で紹介したとおり、材料である鮭やカラフトマスは産卵のためにこの時期に遡上する。当然メスが捕れれば同時に完熟腹子(筋子)が手に入ることにナル。せっかくなのでこの際イクラについてもひとくだりご紹介したい。

  • はぼまい昆布しょうゆ
    (1Lペットボトル)とワンカップ

  • 奥:キャビア
    中:いくら、手前:たらこ

  • 黒パン+バター+いくら

ロシア人は鍋で海水(食塩水であれば海水でなくとももちろん良い。)を沸騰させアクを取り、冷ます。60℃~70℃くらいになったところで、その中に卵巣膜を破った腹子を投入してフォークでゆっくりかき回す。腹子を包んでいる膜が取れてバラ子になる。洗って水を切ってたっぷりの塩で漬け込む。彼等流の塩イクラだ。
しかし、もし貴方が道産子だったらここはこだわっていただきたい。準備していこう。必需品は餅焼網1枚(100円ショップで充分)。270mlのワンカップ大関(日本酒)4個。そして「はぼまい昆布しょうゆ」1Lペットボトルだ。
酒は蓋付きの270mlガラスコップ式であるなら銘柄は問わない。安い酒ほどいい。ラベルに醸造用アルコールと醸造用糖類なんか書いてあると最高だ。
カップ酒を指定するのは漬け込みの器にするためだ。4個あれば二匹分の腹子が保存できる。別に保存容器を持参するなら酒はもっと安い紙パックでいい。
ただ、醤油だけはこだわろう!歯舞漁協謹製「はぼまい昆布しょうゆ」だ!これが出来上がりを決める。(1リットル入りのペットボトルだが大は小を兼ねるので是非ご持参願いたい。かけて良し、料理によし、とにかく料理の味に深みがでる。ロシア人からも醤油の持ち込みは大歓迎される。)
餅網で腹子をしごくとバラ子になる。海水で洗い、真水で洗い、ちょっとの酒ですすぐ。保存容器の八分目までバラ子をいれ、酒と醤油の1:1をいっぱいに注ぎ翌朝まで漬け込む。朝食には漬け込みダレを程よくすったプリプリのイクラの醤油漬けが登場となる。2日目以降は味もぐっと良くなる。(鮭の塩漬けイクラはロシア式でも最高にウマい!しかしカラフトマスの塩漬けイクラはサケ子を知ってるものにはちょっと物足りないかもしれない。是非醤油漬けでお試しいただきたい。)
酒も醤油もなければ、ロシア式塩漬けイクラもいいが「筋子」を作ってみよう。しっかり洗って、たっぷりの塩を揉み込む。ザルがあればいいがなければ柳の小枝で小さな井桁を作り、鍋かなんかに入れて蓋をする。(水切りだ。)結構楽しめる。
イクラは魚卵を総称するロシア語。その昔、北から蝦夷地にもたらされた食べ方のようだ。「チョールヌイ(黒)イクラ」はキャビア。「クラースヌイ(赤)イクラ」は鮭鱒の卵、「メンタイイクラ」はタラコ(スケソウダラ)である。

ロシア人は黒パンにバターをたっぷりと塗り、その上にカラフトマスの塩漬けイクラをどっさりとのせる。ロシア黒パンとの相性は最高である。極東のスーパーでは時期になると4リットル入りや10リットル入りのバケツで売ってる。缶詰は通年で売られており四季を通じて人気の品だ。パーティーなどではオードブルに必ず登場する。(この塩漬イクラかなりしょっぱいが、ご飯に合わせる時はひと滴の醤油をお勧めする。海苔があるとさらにいい。)
今や北海道の観光分野において欠かすことのできない食材であり水産業の目玉商品である「いくら。」北海道の郷土料理であることに間違いはないが、その語源から起源までもがロシアであることに驚かされる。

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