ロシアのウオッカ12
2010.05.03
今月のウオッカ/「ピヤチ アジョル(5つの湖)」- Vodka from Siberia

シベリアの中心都市オムスクのウオッカ醸造企業「シベリア アルコール グループ(ASG)」の製品「ピヤチ アジョル(5つの湖)」は、ロシアでの2009年売上高で、第3位を誇っている。シベリアの工場で生産されるウオッカ「ピヤチ アジョル」には、その名の通り、タイガの深い茂みの中に連なる湖の水が原料に使われている。オムスク五湖の水がウオッカ醸造に最適であることは、すでに2世紀も前に知られており、タイガの奥に醸造工場が作られていた。その昔は、水の湧くほとりで生産を行うのが、水の活力を製品に生かす最良の方法であったことは、想像に難くない。確かに、ウオッカはペリメニと共に厳しいシベリアの伝統的な食品で、色々な種類が生産されている。
1993年に建設された工場のウオッカ生産量(2008年)は、600万デカリットルであった。同社の株主はエレーナ ガリーニナ(60%)、アンドレイ ストレレツ(20%)と、ピョートル ニスコロムヌィ(20%)である。ASG社は、ウオッカ「ピヤチ アジョル」に続いて2008年秋に、ウオッカ「ケドロビッツァ」の発売も開始した。オムスクの工場で生産されるウオッカは、ロシア全土で販売されているだけではなく、世界の16カ国に輸出されている。
「ロシアで人気の高いウオッカが、なぜシベリアの密林の中で醸造されるのか、と問われたなら、こう答えるだろう。『水、まさしく水』と。ミネラル豊富なタイガの湖水を使って、ウオッカ「ピヤチ アジョル」は製造されている。この水は単に清涼なだけではなく、特別な水である。含まれている銀による回復力で、水は時が経っても腐らない。人々が『生きている水』と呼んでいるのも偶然ではない。」と、シベリアのウオッカ醸造者は述べている。
最上級の精留アルコールで造られる「ピヤチ アジョル」は、また、砂糖シロップと小麦エキスの独特な味わいのあるウオッカである。
アウトドアクッキング
シャシリク(串焼き)
シャシリクはロシアで生まれたものではないが、もうすっかりロシア料理として馴染み深いものとなっている。シャシリクの故郷である中央アジアでは羊の肉でしか作られないが、ロシアでは色々な肉、時には魚も串焼きにする。
タイガでシャシリクを作る時には、勿論、肉を刺す金串を持っていかねばならない。しかし、金串がなくても、何とかなる。木を削った串で代用する方法は、すでに経験済みだ。金串の台には大きな石や木の切れ株が使えるので、コンロは必ずしも必要ではない。
シャシリク料理に大切な物は、まずは肉、そして自由な数時間と、気持ち。
さて、我々はタイガの中にいて、うまく獲物をしとめて肉を手に入れたか、または好みの肉を持ってきたとしよう。
専門家によると、肉の漬け込みがシャシリク料理の決め手となる。特に、野生動物の硬い肉が材料となるときにはマリネは重要である。本当に新鮮な羊肉や豚肉、ラムや若い豚の肉が材料となるときには、肉の漬け込みは必要ない。マリネ液のレシピは千差万別で、各人が「秘伝の」方法を持っている。とはいっても、シャシリクの味に欠かせない調味料がある。その第一に私があげたいのは、肉を柔らかくする酢(レモン汁、ライム果汁、ワインビネガー等)である。硬い肉の時には、ビネガーが特に大切だ。次がタマネギ。これが動物脂肪に特有な味を除き、肉をジューシーにする。あとは、ハーブ類や塩コショウなどのスパイスであるが、これは好みと、手元にあるものが加えられる。というのも、タイガではシャシリクを作るにしても、塩とタマネギしかないのは、よくある事なのだから。
では、もっと分かりやすく、私や友人達が良く作る2種類のシャシリクを紹介しよう。
タマネギとマヨネーズのシャシリ
肉は3cmの角切りにし、タマネギは大きめに切る。ニンニクを5-6片。タマネギは多めに、肉の約半分ほどの量を使う。肉、タマネギ、マヨネーズを混ぜ合わせる。マヨネーズが、肉にまんべんなく絡むようにする。室温で6~8時間ほど、時々かき混ぜながら肉を漬け込む。(時間はもっと短くてもかまわないが、漬け込みが短いと肉は充分には柔らかくはならない。)
マヨネーズには酢、サラダオイル、塩などが全て入っているので、マリネ液に他の調味料を足す必要は無い。マリネした肉を、タマネギと交互に金串に刺す。この時、肉とタマネギを、きっちりと詰めて刺してゆくように。漬けている間に、肉の周りにはマヨネーズの薄い皮ができており、これが焼き上がりをジューシーにする。
焼く火加減は、強くしないこと。金串も、たびたび返す必要は無い。まず、周りをパリッと焼いて、そして中まで火を通すように。
サラダオイルと酢のシャシリク醤油風味
サラダオイル、酢、醤油を混ぜ合わせてマリネ液を作る。分量はそれぞれ同量にすることも出来るが、私は、サラダオイル4に対し、酢と醤油が2の割合が好きである。かすかな酸味と塩味のついた柔らかな肉に仕上がるからだ。勿論、それぞれの好みで分量を決めてかまわない。すでに書いたように、酢が肉を柔らかくし、醤油が風味を添える。
肉を硬さによって、2~8時間マリネ液に漬ける。気温が15度以下の季節では、漬け込みは48時間まで可能である。マリネした肉を、マヨネーズのシャシリクと同様に焼き上げる。
さあ、恐れずに試してみよう!