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【ノマド|ロシアセクション】

旅のコラム

第7話 ドライブ その1 ロシア極東一般編

2004.11.22

(サハリンのユジノ・ポロナイスク間幹線道路だけは例外だ、その2で紹介したい)
とにかく広い。長い。何もない。
そんなロシア極東のドライブにはそれなりの覚悟がいる。JAF、コンビニ、ガソリンスタンドという耳慣れた存在は彼の地では今はまだ、はるか彼方の幻だ。

ひとつの数字がある、「2km」。日本のガソリンスタンドの軒数を分母として国道の総延長距離を分子とする分数の答えだ。過疎地も都市部もひっくるめた強引な計算ではあるが、それにしても車に乗るものにとっては心強い数字だ。ロシアの分数はわからない。しかし何度もロシアを訪れてみて皮膚感覚の答えは多分「300km~400km」位だろうと思う。そしてその分母は単純に軒数である。営業しているかどうか、品切れ、などの素因は考慮していない。彼の地ではよくある素因だがあまり想像したくない。ドライバーならわかってもらえると思う。
故に、車輌搭載品も日本とは少し趣が異なる。必需品はジェリカン(予備燃料携行缶)、ゴムホース、バケツ、そしてウオトカだ。ほとんどの場合は燃料タンクを満タンにして20リットルのジェリカンひとつあればなんとかなるが、中途のスタンドがもし2軒連続でお休みか、品切れの場合は、 「残念!」

しかしロシアンドライバーは慌てない。実は何もしなくてもJAFはやってくる。

ほどなく、遠くに土埃が見えるとエンジン音がかすかに聞こえてきた。
ドライバーはおもむろにダッシュボードを開けJAFカードを取り出す。ロシアのJAFカードは少し変わっている。500ml入りのガラス瓶だ、ラベルには「VODKA」と表示されており、スクリューキャップが付いている。連邦財務省の封印まであり、有無を言わさぬ威厳がある。
ドライバーはそれを両手に高く掲げ、道の真ん中で仁王立ちする。近づいてくるエンジン音はしだいに大きくなり、そして止まった。壮大なる土煙が収まるとその車の荷台にはなぜか原木が山と積まれている。降りてきたロシア人は軍手を履きながら2本のカードを受け取り、物も言わず燃料タンクにゴムホースを突っ込んだ。その間僅かに30秒。
2台の車のドライバーは笑顔で握手をしてわかれた。見事である。
因みにこのときのカードの銘柄は「ストリチナヤ」。モンドセレクション金ラベルとある。

ゴールドカードであった。

つづく

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