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【ノマド|ロシアセクション】

旅のコラム

第18話 ニッサン パトロール

2006.10.23

前回のコラムでは、はるばるスウエーデンからランドクルーザーで日本へやってきた2人組みとの出会いを6月のこととして書いた。充分に驚き、世の中にはスケールのでかいことを簡単にやってしまう人間もいるんだなあと感心していた。それでもそんな人間はそうはいないだろうとも思っていた・・・。

しかしながら、、8月、出た!
やっぱり稚内フェリーターミナルでの出会いであった。
今度はニッサンパトロール、邦名はご存知のサファリ。160系のエクストラバン86年式だ。聞いてみると、スウエーデンの対岸の国ポーランドからだった。彼らは一直線にユーラシア大陸の東のはずれウラジオストックを目指し、海にぶち当たるや貨物船を見つけ車を積んで日本海を渡り、新潟に上陸したとのことである。猪突猛進型の2人組みだ。(やっぱり男女2人組みのカップルだった。)
サハリン往きフェリーアインス宗谷の乗船はその帰り道だった。

スウエーデン組みとの違いはその車両にあった。車種の違いはもちろんのことだがその装備に関する考え方が違った。
スウエーデン組は全てがシンプルで、車両に特別手も加えずあるがままのオンボロランクルに必要最小限の荷物。かたやポーランド組は猪突猛進を支える為だろうか車両のいたるところ手が加えられており、しかも充実装備の数々。良く考えられ吟味されていた。
 国民性の違いだろうか、個人の性格の違いだろうか・・・・。
ポーランド組の大陸横断猪突猛進仕様を少しご紹介しよう。4WDに興味のない方は読み飛ばしてもらいたい。
電動ウインチ(ウオーン製)、ロングシャックル(手作り)、スタビライザー除去、シュノーケル(ポーランド製海賊版)、フロントプロテクションワイヤー(手作り)、車室内ベッド(木製手作り)、
、、ETC。例によって聞いてみた「装備で重要なモンはなんだ?」と私。
「飲料水40リットル、網戸、ベッド、シャワーだ。テントも持っているが我々は苦行の旅が目的ではない。快適に旅がしたいんだ。」
なるほどと思った。リアウインドーには網戸が張られ、ルーフキャリアサイドには手作りオーニングシステム(タープ)らしき物がしつらえてある。ハードな外見とは裏腹に確かにシベリア横断快適仕様として的を得ている。(蚊が多い夏の旅に網戸は必需品だ。私もカットした網戸をガムテープで張って使っている。)
車内の収納とベッドスペースを確保するにもルーフキャリアの選択は必然だ。
要所要所、実に説得力ある車だと思った。聞くに本国でもCCVクラブを主宰しいろいろなタスクプログラムを楽しんでいるとのことであった。・・・さもありなん。

彼はロシアに精通しロシア語も堪能だった。通関も独力で猪突猛進!何とかなったようである。
サハリン上陸4日後、テレビで朝の地元ニュース番組を見ていると彼らが紹介されていた。彼は各種装備の紹介とともに「ニッサン パトロールはいい車だ!」と言っていた。
(もしかすると今後、北海道からのサハリン向け中古車市場に何がしかの影響があるかもしれない。)
僅かの期間にヨーロッパからやってきた二組の四駆乗りに出会った。国籍も車種も旅のスタイルも違ったが四駆をきっかけにした、たのしい出会いであった。
二組に尋ねた質問があった。「何故この車なんだ?」
「ベストだ!」 が共通した答えだった。単純に嬉しかった。
ポーランド組みは今、ロシア極東を走っている頃と思う。無事の帰国を祈りたい。

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