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【ノマド|ロシアセクション】

旅のコラム

ロシアのウオッカ2

2007.09.07

誰がどんな風に、そして何故ウオッカを飲むのか?(その二)

ウオッカの歴史から(続き)

 すでに16世紀はじめには、「熱いワイン」はロシアに持ち込まれるのではなく、ロシアから持ち出す物となっていた。ロシアウオッカの輸出が始まったのである。15世紀末に、モスクワ公国と「全ロシア」を統治する、その先見の明と政治戦略において卓越した才能のあった大公イワン3世が他のアルコール飲料と同様にウオッカについても製造と販売を国が独占することを定めた。
 1533年には、ウオッカや色々な種類のアルコールを楽しむことのできる最初の「ツァーリの居酒屋」がモスクワに開店したと伝えられている。イワン雷帝の時代は、この居酒屋は大いに繁盛した。というのも、居酒屋の客にはツァーリの側近が多く、彼らは裏で手に入れた金をここで惜しげもなく使っていたのだ。

16世紀にモスクワ公国を訪れた異国人達も日記や旅行記に、この居酒屋のことを書いている。時には、「ルースキー・タベルナ (ロシアの居酒屋)」と呼んで。ところで、この「居酒屋-кабак」はスラブ語から生まれた言葉ではない。どこからやってきた言葉かは、正確なところは誰もわかっていない。しかし、どこか東方からロシアにもたらされた言葉であるだろうということについては、言語学者達の意見が一致している。居酒屋では人々は、大いに飲み、喧嘩をし、サイコロ賭博に興じたが、残念ながら、何かをつまみに食べることはできなかった。
 この居酒屋ビジネスは国家に少なからぬ収入をもたらしたので、リューリック王朝やボリス・ゴドノフ、そして初期のロマノフ王朝は、居酒屋の独占営業権を強めこそすれ、決して手放しはしなかった。

ウオッカと風習

 味わい、楽しむヨーロッパの飲酒の習慣とはちがって、ロシアではウオッカは、重労働や、しばれる冬道を長い間歩いたあとに、体を休め、疲れをとるために飲まれてきた。
 グラスに一杯か二杯のウオッカを飲む理由がここにあるとも言えるだろう。日常生活では、ロシアでは今も昔もウオッカは食前か、食事の間に飲まれている。
 アルコールの飲み方で日本との違いをいうなら、日本では会食の席では、まず冷たいビールから始まり、そして好みに応じて強い酒へと移っていく。

しかし、ロシアではこのように酒の種類を変えて飲む習慣はない。一種類だけ、ワインを最初に飲んだならワインだけ、ウオッカなら、ずっとウオッカを飲み続ける。異なった酒をカクテルにして飲むだけではなく、ビールの後にウオッカ、あるいはワインの次にブランデーやウィスキーというように酒をチャンポンで飲むと、ひどい頭痛の二日酔いや悪酔いをしてしまうと、ロシア人は信じている。
 そして、さっさとひどく酔っ払ってしまいたい時には(ある人にとっては、これが宴会の目的)、いろんなアルコールをまぜこぜで飲んでしまえばよいことも、ロシア人は良く知っている。ロシアにはこんな諺さえある-ウオッカ無しのビールなど、金を捨てるようなものだ (Пиво без водки, – деньги на ветер)。

ウオッカを飲む時のアドバイスを一つ

 すすめられて強い酒を飲みすぎるはめに陥ることが、どんなに慎重な人にでもロシアでは起こりうる。こんな時どうなってしまうかは、ご存知の通りで、吐き気、嘔吐、ひどい頭痛に襲われる。
 これに対し、よく効く処方箋がロシアにはある。「поправиться (回復する・直る)」という用語さえ特別にある。朝に、もし、「パプラーヴィッツァ(поправиться)」とすすめられたら、それはロシアでは、「70グラムのウオッカを飲みなさい」という意味になる。素晴らしく効くことは、経験から断言できる。二日酔いは数分で消え去る。ただ、朝にグラス一杯のウオッカだけを飲むということは、誰にでもできるものでもないが。

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