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【ノマド|ロシアセクション】

旅のコラム

第24話 「 技 」:野外料理編(焼き物)

2008.11.14

ロシアアウトドア料理の王道3種(焼き物・汁物・蒸し物)を順次ご紹介する。

ロシア極東での食事は、街場のレストランに行くよりもタイガや川辺、海辺、湖沼近くで摂ることが多かった。もちろん道の駅や海の家があるわけではない。
そんなところで、実においしい料理をいただいてきた。贅沢とか豪勢といったものではないが良く考えられていて驚くほど合理的な料理法ばかりだ。
3種4点ほどを適宜ご紹介していきたい。
今回は「焼き物」:シャシリク(炭火なしでのロシアバーベキュー、元祖はコーカサス地方)
一見、簡単そうであるが熟練の技が光る逸品である。ロシアのアウトドア料理の東の横綱と言っていいだろう。
 コツは仕込みと、熱源、焼きにある。
仕込みはアウトドアに出る前日の夜におこなう。大振りの鍋かビニール袋に水と酢、ワイン、たまねぎ、にんにく。ちょっと強めの塩、こしょう。あれば香草や、ニンジンなどを適当に切って漬け込む。もちろんこれに主役の豚肉か牛肉を拳半分程度の大きさに切り揃え一緒に漬け込み冷蔵庫で一晩寝かせる。(漬込ダレは各家庭に秘伝があり、一様ではない。)
 ベースキャンプについたら火熾しだ。焚火の熾きを作りながらシャシリク専用の串に肉を刺し込みペットボトルに水を用意する、蓋にはあらかじめ釘で穴をあけておく。ここからが熟練の技である。熾き火の上に串を並べて焼いていくわけだが炭火と違い熾き火の管理は大変だ(ロシアには伝統的に炭が無い)。常に熾き火を補給しながら、且つ火が上がっては焦がしてしまうのでペットボトルの水を少量かけながら火力の調整と焦がさないよう絶妙な火加減・水加減でこんがりと焼いていく。焼き加減は絶対にウェルダン!(これはロシアでは掟である。憲法よりも拘束力がある)。
シャシリクには必ず専従の焼き方が就く。鍋奉行のロシア版、焼き奉行とでも名付けようか、時に大名、将軍となるときもある。
キャンプサイトでの最高権力者であり、誰も手だしすることはできない。
 焼き上がると将軍は指の間に何本も串を挟みテーブルまで運ぶ。そして厳かにナイフかフォークで串から皿に肉をはずしていく。皆の眼は皿に釘付けだ。将軍は言う「ラズレシャーエット:許可する!」(笑)、もしくは「パジャールスタ:どう~ぞ~!」だ。一斉に手が伸びる。全員から「アットリーチナヤ!(最高)」の称賛の声が上がる。そしてすかさずウオトカで将軍に乾杯となる。
断言しよう過去の経験からシャシリクにハズレはない。
宣誓してもよい!120%うまい。
(全世界的に見て究極の肉料理と言ってよいだろう。この種オリンピックがあれば必ずメダルが取れる逸品である。)

*シャシリクは人数にかかわらず大量に焼くのがロシア式だ。残ったシャシリクは翌日のシチューの具材となる。これまた絶品である!200%うまい。

近頃は焼き上がったシャシリクにケチャップをつけて食する新しいスタイルも流行ってきた。その際の銘柄はロシア製「アドミラル(提督)印」と決まっている。これも掟である。山わさびやおろしにんにくもかなりいい、これは赦される。(秘密のおいしい食べ方を伝授しよう。日本人にはカラシがかなりいい、ロシアの掟に完全に抵触するがチャレンジする価値あり。お試しいただきたい。)

次回は汁物。

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