第36話 ロシア流、パンク修理(小技)
2010.02.27
日本では近頃めっきりと減ったタイヤのパンク。万が一パンクにあってもスペアタイヤに替えて近くのガソリンスタンドに駆け込めばそれでOK!多分、今の若者は自分でパンク修理できないだろうなと思う。
私が子供のころはまだ道路事情も悪くしょっちゅうパンクがあったように記憶している。まだチューブの時代だ。車にはスペアタイヤは勿論のこと2本目のパンクを想定してタイヤレバーにヤスリ、ゴム糊、補修パッチと焼きつけ用クランプが積んであった。
ロシア極東の道路事情はいまだ過酷だ。なぜか道路に砕石が撒かれている。それも断面が鋭角に尖ってる砕石が多い。タイヤに負担のかかる積載量でトルクをかけて走ると途端にパンクする。ロシアでは長距離を行く時スペアタイヤ2本は常識だ。それでも2本とも逝っちゃうときがある。これまで何度もそんな目にあってきた。いまや時代はロシアでもチューブレスとなっている。ロシア式パンク修理テクニックで思い出深いものを2点紹介したい。

ロシア製四駆車:ウアズ
ロシア製四駆車を利用することが多かった。イワンジープと言われたりロシアンパジェロとか言われたりしたソ連時代からの伝統の名車(旧東側に限る)である。タイヤだけはそのころ流行り始めたチューブレスだった。
ある日のこと。「パンクだ!」、スペアはもうない。ロシア人は工具箱からドライバーを引っ張り出し助手席の内張りに向かった。内張りに打ち込まれた一番デカイ鉄板ビスをはずし始めた。短いけれども太い!ライターで炙ったかと思うとパンクの穴に容赦なくねじ込んだ。微笑みながら煙草に火をつけ一服しながら空気入れを引っ張り出してきた。
煙草をもみ消すと片手で空気を入れのポンプを上下させ始めた。右手で200回左手で200回。そして空気圧を見るまでもなく出発した。距離100kmを2時間ちょっとで走ったかと記憶している。ふつうに走った。そのまま宿に入り翌日早朝に工場まで走った。特段空気が抜けたようには見えなかった。
ここ最近はチューブレスのパンク用修理キットが輸入され、今ではこんな技を見ることはなくなった。もうしばらくするとロシアの若者もパンク修理できなくなるかもしれない。
続く
次回は大技編だ。